緑と心のケア便り

部屋に飾るドライフラワー・枝もの 自己肯定感を高める手軽なセルフケア

Tags: ドライフラワー, 枝もの, セルフケア, 自己肯定感, 部屋の緑

忙しい日常に小さな自然を 取り入れるセルフケアの選択肢

ITエンジニアとして都市近郊で働く日々は、プロジェクトの締め切り、人間関係の調整、そして増え続ける情報の中で、心身ともに疲弊することも少なくないでしょう。気がつけば自分自身の感情や状態を見失ってしまい、ストレスや悩みに追われる日々が続いているかもしれません。

そんな多忙な中でも、「自然に触れてリフレッシュしたい」「でもまとまった時間はない」「どう始めたらいいか分からない」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「緑と心のケア便り」では、自然との触れ合いを通じて心身を整え、自己肯定感を育むセルフケアの方法をご紹介しています。これまでは公園散歩や観葉植物などをご紹介してきましたが、今回は「切り取った自然」であるドライフラワーや枝ものを部屋に飾るという、さらに手軽で都市生活に取り入れやすいセルフケアの方法に焦点を当てて解説します。

ドライフラワーや枝ものを飾るという手軽さ

なぜ、ドライフラワーや枝ものが忙しいあなたにとってセルフケアの選択肢になり得るのでしょうか。最大の理由は、その「手軽さ」と「維持の容易さ」にあります。

観葉植物のように毎日の水やりや日光管理に気を配る必要は基本的にありません(※枝ものや一部の切り花の場合は水替えが必要です)。一度飾れば、その場にあるだけで空間に自然の要素をもたらし、視覚的な癒やしを提供してくれます。

購入場所も、花屋だけでなく、雑貨店やオンラインショップなど多岐にわたり、気軽に手に入れることができます。また、拾ってきた枝や、育てた植物をドライにするなど、身近な自然から取り入れることも可能です。

大きな手間をかけずに、日常空間に自然の気配を取り入れることができる。これが、ドライフラワーや枝ものをセルフケアとしておすすめする理由です。

部屋に飾る「切り取った自然」 取り組み方とコツ

では、具体的にどのようにドライフラワーや枝ものをセルフケアに取り入れていくかをご紹介します。

1. 手に入れやすいものから始める

まずは、一本のドライフラワーや小さな枝ものから試してみましょう。お気に入りの花瓶がなくても、空き瓶やグラスなどを活用することもできます。お店で気に入ったものを選ぶ時間も、一種のセルフケアになり得ます。

2. 目につきやすい場所に飾る

デスクの上、ベッドサイド、リビングのテーブルなど、普段自分がよく目にする場所に飾るのがおすすめです。ふとした瞬間に視界に入ることで、意識的に自然を感じる機会が増えます。

3. 時々、意識を向けてみる

飾ったドライフラワーや枝ものを、ただのインテリアとしてだけでなく、意識的に眺める時間を作ってみましょう。 * 色合いの変化に気づく * 形の面白さを発見する * 触れてみる(※繊細なものもあるため優しく) * 飾る前の姿を想像してみる

ほんの数秒でも構いません。意識的に自然に触れる時間を持つことが大切です。

4. 小さな手入れを習慣にする

ドライフラワーは埃がつきやすいため、時々優しく埃を払ってあげることで、長く美しい状態を保つことができます。枝ものは、必要に応じて水の交換や、枝ぶりを整える剪定を行います。この「小さな手入れ」の時間が、後述する自己肯定感への繋がりにおいて重要な役割を果たします。

なぜ「切り取った自然」で自己肯定感が育めるのか

ドライフラワーや枝ものを飾るという行為が、単なる気晴らしやリフレッシュを超えて、どのように自己肯定感の向上に繋がるのでしょうか。いくつかの視点から解説します。

空間を整える行為が自分を労わる感覚に

部屋に自然物を飾ることは、自分の過ごす空間を心地よく整える行為です。これは、自分自身を大切に扱い、快適な環境を用意してあげるという自己への配慮(セルフコンパッション)に繋がります。散らかっていた場所を片付け、そこに美しいドライフラワーを飾る。この一連のプロセスは、「自分のために」行う明確な行動であり、達成感と共に「自分は自分を大切にしている」という感覚を生み出します。

小さな手入れが継続する力と達成感を育む

ドライフラワーの埃を払ったり、枝ものの水を換えたりといった小さな手入れは、毎日行う必要はありませんが、意識的に行うルーティンとなり得ます。こうした「小さな継続」は、「自分は何かを続けることができる」という自信に繋がり、自己効力感(「自分ならできる」という感覚)を高めます。手入れをして綺麗になったドライフラワーを見ると、「自分の行動で良い状態が保てた」という達成感も得られます。

自然のありのままの姿が自己受容を促す

ドライフラワーは生花のような完璧な姿ではありません。色が褪せたり、形が少し崩れたり、時間とともに変化していきます。枝ものもまた、まっすぐではなく、曲がりや節があります。こうした自然の「不完全さ」や「変化」を日々目にすることは、私たち自身の完璧ではない部分や、移り変わる感情や状態を受け入れる練習になります。自然が変化しながらも美しいように、自分もまた、ありのままの姿で価値があるのだと、無意識のうちに感じ取ることに繋がるのです。

能動的な「創造」が自己肯定感を高める

どのドライフラワーを選ぶか、どの枝ものにするか、どこに飾るか、どのように組み合わせるか。これらの選択は、自分自身の感性や好みを表現する行為です。自分の手で空間を飾り付け、心地よい環境を創造することは、「自分は自分の周りの環境を良い方向に変えられる」という能動的な感覚をもたらし、これも自己肯定感を高める要素となります。

体験談:部屋に迎えたドライフラワーがくれた変化

ここで、ある働く女性の体験談をご紹介します。

「毎日パソコンに向かう仕事で、部屋に帰っても心身が休まらない日々でした。何か癒やしがほしいと思い、手入れが簡単なドライフラワーを一本、デスクの片隅に飾ってみることにしました。最初は『まあ、ちょっとした飾りかな』程度だったのですが、ふとした瞬間にその色合いや形が目に入ると、少しホッとすることに気づきました。

特に変化を感じたのは、週に一度、ドライフラワーについた埃を優しく払う時間です。最初は面倒に感じることもありましたが、数回続けてみると、これは『自分の部屋を、自分自身を整える時間』なのだと思えるようになりました。埃が取れて綺麗になったドライフラワーを見ると、小さな達成感を感じます。

以前は『こんなに疲れている自分はダメだ』『何も続けられない』と自分を責めがちでしたが、ドライフラワーの手入れという小さなことでも続けられている自分に気づき、『意外と自分もやればできるんだな』と少しずつ自分自身を肯定できるようになってきました。部屋に小さな自然があるだけで、心持ちが変わるものだなと実感しています。」

この体験談のように、大きな変化でなくても、小さな自然との触れ合いや手入れの習慣が、自己肯定感に繋がるきっかけとなることがあります。

今日からできること

もしあなたが今、忙しさに追われ、心身の疲れを感じているのであれば、ぜひ今日から一つ、ドライフラワーや枝ものを生活に取り入れてみることを検討してみてください。

まずは一本、気に入ったものを選んでみることから始めてみましょう。玄関やリビング、寝室など、自分が一番心地よさを感じたい場所に飾ってみてください。そして、週に一度でも良いので、その姿をじっくり眺めたり、優しく手入れをする時間を持ってみてください。

飾られた自然が空間に穏やかさをもたらし、手入れをする行為があなた自身の心を整える時間となるでしょう。小さな一歩が、きっと心に温かい変化をもたらしてくれるはずです。