緑と心のケア便り

公園散歩で心リフレッシュ 自己肯定感に繋がる五感の使い方

Tags: 公園散歩, セルフケア, 自己肯定感, 五感, マインドフルネス

都会の喧騒の中で見失いがちな「自分」を取り戻す

日々、仕事に追われ、情報過多な環境に身を置いていると、気づかないうちに心身は疲弊し、自分自身の感情や状態を見失いがちになります。ストレスや人間関係の悩みが重なると、自己肯定感が揺らぎ、「これで良いのだろうか」「自分には価値がないのでは」といった考えに囚われてしまうこともあるかもしれません。

このような時、遠くの自然に触れる時間はなかなか取れないとしても、身近な場所で心身をリフレッシュし、自分自身と向き合う時間を持つことは非常に大切です。都市近郊でもアクセスしやすい公園は、まさにそのための最適な場所の一つと言えるでしょう。今回は、公園での散歩を単なる移動や運動としてではなく、心と体のケア、そして自己肯定感を高めるためのセルフケアとして活用する方法をご紹介します。

なぜ公園散歩がセルフケアになるのか

緑の空間や自然の要素に触れることは、科学的にも心身にポジティブな影響を与えることが示されています。例えば、森林浴に代表されるように、樹木から発散されるフィトンチッドにはリラックス効果があると言われています。また、緑を視界に入れることは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、心拍数を落ち着かせることが研究で示されています。

公園には、そうした緑や土、水辺、鳥の声など、様々な自然の要素が凝縮されています。こうした環境に身を置くことで、脳がリラックスし、日々の緊張から解放されやすくなります。さらに、意識的に自然と触れ合う時間を作ることは、「自分を大切にする行動」そのものであり、これが積み重なることで自己肯定感の向上にも繋がります。

自己肯定感を育む五感を使った公園散歩

単に公園を歩くだけでも効果はありますが、さらに意識的に五感を活用することで、自然からの癒やしを深め、自己肯定感に繋がる気づきを得ることができます。忙しい日々の中では、私たちはとかく思考に偏りがちですが、五感を研ぎ澄ますことで「今、ここ」に意識を向けやすくなり、これはマインドフルネスの実践にも通じます。

ここでは、公園散歩で五感を意識する具体的な方法をいくつかご紹介します。通勤途中や昼休み、休憩時間など、まとまった時間が取れない時でも、数分から実践できます。

  1. 視覚:緑の色や光に意識を向ける

    • 木々の葉の色合い(新緑、濃い緑、紅葉など)や、日差しの当たり方による色の変化をじっくり見てみましょう。
    • 空の色や雲の形、花や草の繊細な模様に目を留めます。
    • 光と影のコントラストや、水面のきらめきなどを観察します。
    • 【自己肯定感への繋がり】 「美しい」「面白い」と感じる自分の感性を再認識できます。「自分は周囲の美しさに気づける感性を持っている」という肯定的な気づきは、自己評価を高める一助となります。
  2. 聴覚:自然の音に耳を澄ませる

    • 鳥の鳴き声、葉が風に揺れる音、虫の声、水が流れる音など、人工的な音ではない自然の音に耳を傾けてみましょう。
    • 遠くの音、近くの音、微かな音など、音の「違い」や「層」を感じてみます。
    • 自分の足音や呼吸の音にも意識を向けてみます。
    • 【自己肯定感への繋がり】 普段は聞き流している音に意識を向けることで、感覚が研ぎ澄まされます。周囲の環境に注意を払える「自分の集中力」や「気づく力」を肯定的に捉えることができます。
  3. 嗅覚:土や植物の香りを感じる

    • 土の匂い、雨上がりの匂い、特定の植物の香りなどを深く吸い込んでみましょう。
    • 風に乗ってくる香りの変化に注意を払います。
    • 【自己肯定感への繋がり】 香りは記憶や感情と強く結びついています。心地よい香りを感じることで、リラックス効果が得られ、気分転換になります。自分の好む香りを知ることは、自己理解の一つであり、自己尊重に繋がります。
  4. 触覚:風や地面の感触を味わう

    • 肌に当たる風の温度や強さ、衣服を通り抜ける感覚を感じてみます。
    • 日差しの温かさや、木陰の涼しさを肌で感じます。
    • 可能であれば、木や葉、石などにそっと触れて、その質感を感じてみます(公園のルールに従い、植物を傷つけないよう注意してください)。
    • 歩く地面の硬さや感触(土、砂利、舗装路)に意識を向けます。
    • 【自己肯定感への繋がり】 体の感覚に意識を向けることは、頭の中の思考から離れる手助けになります。「今、自分の体は何を感じているか」に気づくことは、自己への関心と受容を深めます。

体験談:公園散歩がくれた心の変化

仕事で忙しく、週末も疲れきって何もする気になれなかった頃、家の近くの小さな公園を散歩する時間を意図的に作るようになりました。最初は「ただ歩くだけか…」と思っていましたが、ガイドブックで読んだ「五感を意識する」というのを試してみました。

ある日の夕方、公園のベンチに座って、沈む夕日の色と、それが木々にあたる光の具合をじっと見つめてみました。すると、普段はスマホばかり見ていた視界に、こんなに美しいものがあったのかと気づき、少し心が動きました。別の日は、目を閉じて鳥の声や葉の音だけを聞いてみました。都会の騒音の中に、確かに自然の音が混じっているのを感じ、なんだかホッとしました。

毎日数分でも良いから続けてみようと思い、通勤経路にある小さな緑地を少し遠回りしたり、昼休みにオフィス近くの公園を少しだけ歩いたりするようになりました。意識的に五感を使うように心がけると、短い時間でも気分が切り替わるのを感じられるようになりました。

何よりも変化を感じたのは、自分自身の感覚に気づきやすくなったことです。「今日は空が綺麗だな」「この風は心地よいな」といった小さな感覚に気づくたびに、「自分はちゃんと感じることができるんだ」という、当たり前のことなのに忘れかけていた感覚が戻ってきました。それは、「自分は生きていて、ちゃんと感じて、そして価値がある存在なんだ」という、静かな自己肯定感に繋がっているように感じています。

今日からできること

さあ、あなたも今日から公園散歩をセルフケアに取り入れてみませんか。

自然との触れ合いは、特別な場所に行かなくても、日常の中に機会を見つけることができます。小さな一歩から始めて、公園散歩を心身のケア、そして自己肯定感を育む時間として活用してみてください。きっと、あなたの日常に穏やかな変化をもたらしてくれるはずです。